学パロ

4/14
前へ
/50ページ
次へ
「俺は君みたいに暇じゃないから失礼するよ。フランシス…」 「ん?」 「助言ありがと」 ああ頑張れよ、そう背後から降る言葉を耳に収めアーサーが開け放った扉をばたんと閉めた。だから気が付かなかった。 「何なんだ、あいつ……」 彼が辛そうに顔を歪めたことを。 アーサーは唇を噛み締めながら、アルフレッドによって閉められた扉に視線を送った。そんなアーサーにフランシスは溜め息をつく。 「攻防戦はいつまで続くのかね」 「何のことだよ」 「いや、こっちの話」 坊っちゃんも大変だね、そうフランシスが笑いかけるとアーサーは不思議そうに眉をひそめた。 ------- 「何で素直になれないんだろ」 昼休みの出来事を思い出し、その情けなさに勢いよく机に突っ伏す。ごちりと額から厭な音がしたがそんなことはどうでもよかった。窓から差し込む穏やかな夕日に煽られ、落ち込みが増していく。忘れ物に気付いて戻ってきたはいいが、どうも俺は感傷的になっているらしい。 俺はアーサーが好きだ。多分物心ついた時には好きだった。幼なじみで兄代わりだったアーサーとはいつも一緒にいて、彼は本当の弟ように愛してくれた。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

77人が本棚に入れています
本棚に追加