インターセプター

5/14
前へ
/241ページ
次へ
 その日はそんな会話を続けてさっさと帰り、犬小屋の中で眠りについた。  そんで、ちょっとした問題に直面しちまったのは、日が明けてから割と経ってからだ。  その時俺は呑気に欠伸をしていたのだが、急に中から大声が聞こえるもんだからビックリしたぜ。  そしたら、あの中年女はキャリーケースを引きずりながら家を出て行った。何だ何だ?繁さんが出ていくトコなら何度となく見てきたが、あっちが出ていくってパターンは初めてだな。 「ワンっ、ワンっ!」  流石に、何かあったんすかぁ?何て聞くわけにもいかねぇや。繁さんがこっちに来てくれることを祈りながら吠えると、繁さんが縁側からこっちを見ていた。 「おぉ、インターセプター。どした?」  いやいや、どした?はこっちの台詞だぜご主人。  テケテケ歩み寄ると、俺のことを撫でながら事情を話して下さった。  おぉそこ、そこがえぇのんじゃ……。  
/241ページ

最初のコメントを投稿しよう!

75人が本棚に入れています
本棚に追加