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何だかんだ言っても、今日は平日だ。繁さんはいつものスタイルで学校に行っちまった。
あのジャージは中々だが、夏服になったらどうすんだ?いいや、それは繁さん本人が考えることだから気にしなくても平気か。
朝飯分のドッグフードもちゃんと用意されていたので、ソレをつついていたら声が降ってきた。
「よぉシベリアン、元気してるか?」
「あぁ。お前も相変わらずだな、ブチ」
ウチの塀の上に腰掛けて俺を見下ろすのは、全身に白いぶちが彩られている黒猫のブチ。
俺よりも年下のはずなんだが、どうにも上から目線の猫だ。
「さっきお前の主人を見たけど、近所の住民が引くほど超ニコニコしながら歩いてたぞ。どうしたんだアレ?」
「いいことがあったんだよ。そのままにしてやってくれ」
変質者扱いされて縄に付かなきゃいいけどな……。
「そうなのか。ところでシベリアン」
「何だ」
「またフラれちまったよ……」
「またその話か。だから言ってんだろ?若い雌猫に、お前のその柄はキツイんだっつの」
「また体の柄の話かよっ!プぅさん蹴るなぁあ゙あ゙っ!」
相変わらずプレイボーイなわりにうるせぇ野郎だな。話題には事欠かないんだが、如何せん見た目が毒キノコより酷いし……。
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