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何故このモンブランがわけありな代物なのか。それはこのケーキを販売している店舗の遊び心によるものだ。
「ケーキ屋『パッチヒル』のモンブランは、別名『ふざけ過ぎたモンブラン』。見た目はそのままのくせに、百味ビー○ズ並の味のバリエーションと当たり外れの差を持つ珍品」
「こんな物を口にするくらいなら、食わずに我慢している方が10倍マシとのご意見が殺到している代物だ。さぁニノ、今こそチョコレートケーキを巡る勝負の時ぞ!」
「行くわよ!」
チョコレートケーキ1個のために大分テンションを上げている2人は、その後ずっと構えたまま睨み合っていた。
そんな2人を余所に、美宮は「早くすればいいのに……」と冷めた口調で呟く。その手元にはもうケーキなど存在しない。それほどの時間が経過していたのだ。
―――
――
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やがて美宮が棚の本に手を伸ばしても、2人はケーキの上で睨み合っていた。そんな姿に、美宮はガラにもなく溜め息を吐いてしまった。
「はぁ……」
「「ジャンケンっ!」」
びくりと肩を震わせる美宮。何と彼女の溜め息が戦の法螺貝の変わりとなり、チョコレートケーキを巡る戦いは始まったのだ。
「「ポンッ!」」
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