アンダースカート

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 目を血走らせ、涎を流しながら割引シールを狙うおばちゃん。そしてそんなおばちゃんにビビりながら退散する羽鶴を、繁は安い豚肉のパックを手に取りながら見ていた。 「ニノのお姉さんも大変だな……。さて、これで大丈夫かな?」  カゴに入った豚の生姜焼の材料を見、その値段表にある数字の和を導き出す。続いて財布の中の残存戦力を確認し、目を潤ませながらレジに向かう繁。  夕食をソーセージ1本にされるなど御免だが、だからといって夕食に必要な食材の費用を全て抱えるのもいただけないと考える繁。  メールにはああ書いてあったが、食材の費用が母から渡されたことなど数える程もないのだ。このままでは、次の給料日までに蓄えが底を尽きてしまう。  この状況を何とかしなければならないと悩む繁だが、1度抗議すれば1週間は食事にありつけなくなる。あまりにもリスクが高くリターンが無い。  
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