お家へ帰ろう

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今日はすこぶる天気が良い。朝っぱらから、部屋にはカーテンを軽く無視する量の太陽光が注ぎ込まれた。 雲一つなく、まさしく快晴といったところだ。 「今日は一日気持ちの良いお天気でしょう」 家を出る前に見た天気予報師の顔も、何だか嬉しそうで、こちらも快晴といった感じだった。 「おはよ。一緒に行こ」 アパートの駐輪場で、愛用品であるママチャリに跨がろうとしていると、同じアパートに住む、由実が声をかけてきた。 「そうだな」 一緒に行こうと誘われ断る理由もないので、俺は二つ返事をして自転車に跨がった。 由実も自分の赤いママチャリに乗り、二人で学校に向かう。 由実ははっきり言って可愛い。タイプだ。そんな由実と二人で登校するのは、正直堪らない。 しかし登校中に会話はない。二人とも終始無言である。 一緒に登校するのは良いが、暢気にお喋りしながら行こうという気にはなれない。 なんてたって今日は部活の日なのだ。週に一度の、プライドをかけたあの日なのだ。この日にかけている俺は、この時点でも部活に照準を向けているため、由実と話す余裕などない。 由実もそうなのだろう。おちゃらけた様子は微塵も感じられない。 今日は運がよく、開かずの踏切にも、数多くある信号にも引っ掛からなかった。その運を喜ぶべきか、使い果たしたと嘆くかは微妙なところだ。 うちのアパートから学校までは坂道も多い。勾配にとんだ坂道が幾つも待っている。 俺たち二人は、体に余計な負担をかけないよう、慎重に登った。
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