お家へ帰ろう

3/12
前へ
/14ページ
次へ
俺たちは部活に所属していない。だが部活に所属している。わけがわからないかもしれないが、事実なのだ。 部活動を行っていない者は、帰宅部と呼ばれる。部に入っていないのに入っているとはこれが原因だ。 俺と由実は帰宅部だ。活動内容はない。最初はそうだった。 しかしある時、あることに気付いたのだ。うちのアパートには、同じ高校に通う者が多く存在することに。 最初は何の気なしだった。何となく、帰るついでに確認する程度だった。 何をかというと、帰ってくる早さだ。高校から、自分はどれくらいの早さで帰って来ているのかと。 確認は簡単だった。うちの高校は自転車に防犯シールを貼る義務がある。そのシールには校名が記入されているため、どの自転車がうちの高校の物なのかは直ぐにわかる。 アパートは共同の駐輪場のため、自分が帰って来た時点で、どれくらいの自転車があるかで順位がわかった。 初めは見る程度で、意識はしなかった。しかし、日を重ねる事にあることが気になり出した。 それは、自分が帰って来た時点で常にある自転車の存在だ。何台かは確実にあるのだ。 一度試しに、急いで帰って確認をした。全力で急いだのだが、駐輪場には見覚えのある自転車があった。 放置されているわけではない。乗られた形跡はあり、使用されているのがわかった。 俺を出迎える幾つかの自転車を見て、魂に火がついた。 負けていられるか! 絶対勝ってやる! その瞬間、長い戦いの火蓋が切って落とされた。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加