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「あ、田村さん、今からお時間あります?」
「えっ!?」
「良かったらお茶でも飲んで行かれませんか?」
「…!?」
驚いて思わず言葉に詰まる。
「あ、もしかして何か用事ありました?」
「い、いえっ!!ないですっ、ありません、用事なんてっ!!」
ブンブンと大きく首を振った。
「そうですか、良かった、それやったら是非。あ、客間に用意さすんで向こうへ移動しましょか。」
「は、はい!!」
家元の後ろについて廊下を歩きながら、心臓が早鐘のようにドキドキしていた。
今まで業務的な会話くらいしかしたことがなかったから、これは色々プライベートな事を聞くチャンスかもしれない。
いや、逆に自分を売り込むチャンスとか。
グルグル回る思考に、落ち着けと自分に言い聞かせた。
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