ロマンスの神様 2 (首長)

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「家元、どうかされましたか?」 部屋の外からトントン、と控えめなノックと静かな声がかかる。 それへ。 「なんもない、大丈夫や、下がり。」 「はい、失礼しました。」 部屋の前から人の気配が消える。 「す、すいません…」 「いえ、大丈夫ですよ。こちらこそウチのが失礼しました。」 あの中山さん?ずっとあそこに居るんだろうか? 「大丈夫です。会話は聞こえん距離に居てますから。大声やと聞こえるみたいですけど。気になるようやったら払いましょか?」 「い、いえ大丈夫です。大声出した俺、いや僕のほうが悪いんで。」 「そうですか?それやったらええんですけど。」 おっとり、とお茶を飲む目の前の人の、今更に特殊な環境に驚く。 でも、もう、たぶん。 「あの、い、家元はっ…」 「はい?」 「こ、こ、恋人とか居てるんです、かっ?」 一息に言って俯いた。 きっと自分の顔は赤いに違いない。 沈黙がやけに長く感じる。 「…いいえ。居てませんよ、そんな人。」 顔を上げると目の前で微笑うキレイな人。 もう、きっと、引き返せない、 それは、恋する人。 end.
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