プロローグ

2/6
前へ
/56ページ
次へ
(耳当て…、してくりゃよかったな) 金色ギザギザ髪の小さな少年は耳を触りながら少し後悔していた。 つんざく様に冷たい2月の風が彼の両耳を真っ赤に染め上げていた。 その上、彼が今走っていることが結果彼が感じる風を何倍も強くしていた。 そう、彼は今走っている。 街は昼休みを終え、仕事場、又は学校に戻ろうとする人々で溢れかえっている。 しかし彼は誰ともぶつからない。ましてや人の目にも一切止まらない。全力で走っているのにも関わらず、だ。理由は1つに限る。 彼が走っているのは “街の中” ではなく “街の上”
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加