12人が本棚に入れています
本棚に追加
(耳当て…、してくりゃよかったな)
金色ギザギザ髪の小さな少年は耳を触りながら少し後悔していた。
つんざく様に冷たい2月の風が彼の両耳を真っ赤に染め上げていた。
その上、彼が今走っていることが結果彼が感じる風を何倍も強くしていた。
そう、彼は今走っている。
街は昼休みを終え、仕事場、又は学校に戻ろうとする人々で溢れかえっている。
しかし彼は誰ともぶつからない。ましてや人の目にも一切止まらない。全力で走っているのにも関わらず、だ。理由は1つに限る。
彼が走っているのは
“街の中”
ではなく
“街の上”
最初のコメントを投稿しよう!