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『へぇ、シリアスだったんだ。それはそうと、知ってる?私もか弱いおなごなのよ?』
『冗談でしょう。』
そういうと、また殴られた。
『あんた…わざとやってるのかしら?』
『自分の心に嘘はつけないのです。』
そういうと姉上の笑顔がひきつった。
ちょっとまずかったかな…
『貴方はね、ちょっとは自分の心包み隠す術を身に付けた方が良いわよ。今はまだ許されるでしょうけど。』
おお、なんか知らないけど良かった。折檻は免れた。
『は、はい。』
『珍しく殊勲な返事ね。どうせ聞いてないんでしょ?』
『はい……いやいや、いいえいいえ。聞いてるよ。』
あ、ヤバい、プルプル震えてる。
しかしその震えも、何故か急に大人しくなった。いや、諦めの色が表情にありありと映っていたから、本当に呆れたらしい。
『あんたね…まぁ良いわよ、一回痛い目にあいなさい。』
『いつもあっています。姉上のせいで。』
『はぁ…バカやってないで行くわよ。』
『はいさ。』
ふう、良かった、もう殴られないだろう。
それに、姉上は知らない。
僕が、もうそれなりに痛い目に遭っていたことを。
『ま、話さないけどね。』
そう呟いて、僕は姉に続いて東京行きの電車に乗った。
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