ストーブの灯り

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   ~ストーブの灯~ あれはもう15年も前の話になります。 某飲料水メーカーに大学を中退して中途採用で入りましてね 5年間真面目にコツコツと働き、会社から認められて翌年から主任という肩書きをもらう直前に 同僚がオレが担当する自動販売機から金をパクっていたんです。 自動販売機の鍵はオレのデスクから退社時に同僚がパクり夜な夜な自動販売機を荒らしていた。 会社はオレを疑い、顧客の管理が出来ないという理由と金銭に厳しい会社でしたからオレは若くして窓際に追い出されたんですよ。 もちろん同僚は見て見ぬふりをして働いていたんです。 それが発覚したのが12月15日で、オレは翌年の正月にはクビになったんです。 上の娘が産まれたばかりでしたから会社にすがりついてでも働きたかった。 同僚にもうちと同じ年に娘が産まれたばかりでした。 結局、自分の名誉を守る為に裁判を起こし和解したんですが… その間、裁判をするには正社員では働けずに1年間バイト生活をつづけたんです。 深夜のコンビニ ピザ宅配 タクシーの洗車 皿洗い。 金の為ならなんでもやったんです。 和解と同時に普通の会社に入りたかったんですけど 履歴書が1年間分、空白があくのでまともな普通の会社は雇ってもらえず バイト先でもあるタクシー会社に就職し運転手をはじめたんですが… バブルが下り坂だったので食べるだけが精一杯。 常に金に困っていました。 タクシー会社に入り近寄ってくる人間は刺青の入った様な人間しか近寄らなかったんですが… ある程度、貫禄がある極道者は逆にオレを可愛がってくれたんです。 そして その会社の誰からも信頼され人気のある極道者に声をかけらる日が来たんです。 その日はオレが売上No.1になった翌日の日の事でした。 その極道者をオレは『兄貴』と呼ぶ様になっていったんです。 それは…
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