ストーブの灯り

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『よっちゃん…』 『旦那が死んじゃった。』     享年 46歳     兄貴は… 自分から命を断ったんです。 警察に追われ山道に車を停めて山奥に歩いて行き手首を斬ったらしい。 3日後… 窶れた顔で無精髭を生やし衣類には泥が付いていて 冷たくなった体の兄貴が自宅に帰って来たんです。 電話で奥さんに呼ばれ兄貴の家の玄関を開けると御線香の香りがした。 兄貴の顔に白い布が掛けられ 布を捲ると瞼をやさしく閉じた 兄貴がいた。 数分くらい黙って見ていた。 オレの中で兄貴との色んな会話が頭を過った。 横には奥さんと 足が悪くて週末になると兄貴が 整形外科に送り迎えしていた老いた母親がいたんですけど… 受け入れたくないオレがいて  兄貴の体を激しくゆすぶって叫んだんです。 『兄貴?』 『何やってんだよ!!』 『兄貴!!』 『いやだよ!!』 『うわwwww!!兄貴www!!』 『兄貴www!!』 書きながら涙が止まらない もう10年も前の話なんですけどね… 確かオレが兄貴の体を激しく揺さぶっているのを止めたのは 兄貴の長男だった気がする オレは冷たい兄貴に抱きついてしばらく離れなかった。 奥さんに死因は聞いたけど理由は聞きたくても聞けなかった。 悲しんで別れを惜しんでいる場合ではなく お通夜や葬儀の手配が優先だった 奥さんに受付を頼まれましたからシッカリしなければダメだった。 お通夜も葬儀も無事に終わらせる事がなんとか出来た。 それから1カ月後の休みに奥さんから呼ばれたんです。 話があるって…
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