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深夜だというのに、1軒だけ電気が付いてる家が目に入る
それが自分の家だとすぐ分かり、亀梨は溜め息を吐いた
急いで家に帰ると、奥からテレビの音と勝手に居座っている男の笑い声が聞こえた
男がいるであろう部屋のドアを開けて、ただいま、と声をかけると男は振り返らずに、おかえりなパ~イ、とふざけた返事をしながら、テレビから目を離さない
(…ここは俺の家だっつーの)
亀梨は苛つきながらも、コートを脱ぎ、置いた
我が家のように、テレビを見ている男に苛ついてるのか
それとも、恋人が帰宅したのに、こちらを見ず、テレビから目を離さないことに苛ついてるのか
苛ついてる亀梨に気付かない、鈍感男の恋人の矢吹隼人はゲラゲラ笑いながらテレビを見ている
「っ!可愛いすぎだろ、これ」
テレビ相手とはいえ、自分以外の人に可愛いという矢吹に苛つきが増す
矢吹と付き合うようになって、自分がどれだけ嫉妬深いか知った
(…なに見てんだよ)
気になって、矢吹に近付くと矢吹で隠れて見えなかったテレビが視界に入り、ギョッとした
「なっ…に、見てんだよ!」
亀梨はすぐにリモコンを取り、テレビを消す
テレビに写っていたのは、
紛れなく俺
「ちょ、消すなよ!」
やっと振り向いた矢吹は亀梨からリモコンを取ろうとしたが、亀梨はそれを阻止する
自分より小さい亀梨からリモコンを取り上げるなど、矢吹には簡単なことだが、すぐに矢吹は諦めた
「まぁ、録画してるし」
「は?録画してんの!?」
「怒らないでよ、ハニー」
抱き着きながら冗談をいう矢吹をみて、溜め息を吐いた
矢吹が俺の出ている番組を見ているのは久々だった
最初は、亀梨が出ている番組は全て見ていたが、途端、パタリと見なくなった
矢吹曰く、
「俺と同じ顔の奴が気に入らない」
だそうだ。
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