麗〈レイ〉

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「榎本。これ、次の会議に使う資料だから纏めといて。明日までに頼むよ。」 上司の事務的な言葉。 振り向くとほぼ同時に、どっさりと紙の束を私のデスクに置く。 紙の束、その分厚さに目を瞬かせて眼鏡のレンズ越しに上司を見上げた。 「……はい、解りました。上村係長。」 お昼過ぎ。 食べ過ぎで膨れたのだろうお腹を擦りながら、上村は自分のデスクに戻っていった。 無関心な表情で。 そんな私も無関心に目を逸らすと、眼鏡を押し上げてパソコンの画面を睨んだ。
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