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食えおばば
昔々ある 村に
山影深くに住む
百歳は かるく 越したで あろう 老女がおった
老女は 何も 食べずいた
だが 死ななかった
村人が 気の毒に思い
時々 握り飯やら 団子 饅頭等を
持って 老女の 家に 訪れた
しかし 老女は 口に しません
村人が 持って来たものは
村人に 食べさせます
不思議なことに
腹一杯食べたはずの 村人は 食べた気がせず
見ている老女は さも たくさん食べた様子
どうしたことだ
何年かし
村は 大飢饉が 訪れた
村人は 痩せこけて 行くばかり
困り果てて しまった
その時
一羽の 鳩が 文をくわえ
村に 飛んで来た
文には
老女からだった
腹減ったら ワシの 所へ こい
村人は わらにも すがる 思いで 老女の もとへ
老女は いず
紙に これを 食べよ と
そこには 米俵百俵 麦 小豆 大豆 粟 ヒエ等々
村人が 二年は 暮らせる
食べ物が あった
それから 老女は 姿を 消し
村人は あれは 神の 下した
使いなのじぁと
村人は ほこらを 造り祭った
今でも 相手に いっぱい 食べて 頂くのは
相手ばかりでなく 自分も 満たされる からとも 思われる
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