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白と黒を基調とした部屋にあるベッドに一人の少年が寝かされていた
扉が静かに開き、髪を一本に結った女性が入ってきた
舞である
「……やっぱ急な次元移動は普通の人間にはキツかったか…もう3日経つし」
そう呟いた瞬間、少年が身じろぎをした
「ん……ここは…」
「目が覚めたか?」
「…誰、ですか?」
「俺は舞」
少年は周りを見渡す
「俺…確か崩壊に巻き込まれて…」
「ちょうど瓦礫の間に倒れてたところを見つけた。運が良かったな」
舞はそう言いながらココアが入ったカップを少年に差し出す
「飲みな」
「…ココアですか?」
少年はカップを受け取り、まじまじと中の茶色の液体を見て
恐る恐る口をつけた
「美味しい…」
「そりゃ、人の手で作ったからな」
「機械で作ったんじゃないんですか!?」
少年は心底驚いた顔で舞を見る
舞は苦笑する
「そうだ…街は……街はどうなったんです?!」
少年は舞を見つめる
・・・・・
「……お前がいたミラージュタウンは3日前に崩壊した」
「崩壊って………」
少年はイマイチ状況がつかめないという表情をする
「そのまんまの意味だ。お前の帰る家なんてもう無い」
「……………」
少年は目を見開いたまま俯いた
「選ばせてやる。このまま俺についてくるか、これまでの記憶を全て消して別の次元で平和に何事もなく暮らすか………」
少年は俯いたままだった
舞は少し顔を歪ませる
それを悟られないように背を向け
「期限は三日だ。よく考えろ」
そう言い放ち
部屋から出て行った
「……俺は………………」
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