水車小屋の番人

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私はすっかり道に迷ってしまった。 辺りは薄暗い森で、木々がうっそうと生い茂っていた。どれほどの時間歩 き続けたのだろう。 歩けば歩くほど似通った木ばかりで何も目印はない。 私の足は、そろそろ動かないところまできているが、 この森の木々は、冷たい表情を見せながら枝という枝をのばして空を覆い 隠してしまっている。 そして、陽光の届かない大地は、湿地のようにぬかるんでいてとても腰を 降ろして休める状態ではなさそうだ。
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