水車小屋の番人

8/9
前へ
/9ページ
次へ
声の方向を見るとそこには、水車小屋の番人が立っていた。 「湖の水を汲むには、この桶しか使ってはならんのだ。」激情した声で、 番人は叫ぶ。 少女は、悲しそうな一瞥を、番人に投げかけると、そのまま後ろへ振り返 り堂々と歩き始めた。 その背中には、ある種の決意さえ込められていた。 次の瞬間。 番人が、思いもよらぬ素早さで、少女の後ろへ、回り込んだのだ。 そして・・・ 番人の握りしめた空のその桶は、 少女の上に振り下ろされ鈍い音を立てた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加