掛け違い

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本当に小さなひび割れだったんだ 俺はそのひび割れた水槽に水を注いでしまった チョロチョロとしみでていた水は、堰を切って溢れ出した 訳がわからなかった… 何を言ってしまったかも頭の中で反芻することも出来ないくらいに小間切れの記憶 わかるのは…あいつとの間でガラスの壁が出来てしまった事… 堰を切った水は充満して、酸欠しそうな俺がいる なぜ言ってしまった? 我慢できた事だったはずなのに… 『ユノ、ちゃんと俺の事好き?』 好きだよ 好きなんだよ でも、お前を求めれば求める程、俺は俺を捜すばかりだ ちゃんとってなんだ? 教科書やマニュアルがあるなら見せて欲しかった 水はどんどん増していく 苦しい… でも…きっと、ユチョンも…いや…俺と同じなんてなんの保証もない感情だ その感情も今にも絡まって切れそうだ… なし崩しだ 後の祭りだ 部屋に戻ると、チャンミンがベッドに横になって本を読んでいた 「荷造りは終わったんですか?」 返事をするのも億劫な俺はベッドへダイブした 「ユノ?」 「悪い…ちょっと、黙っててくれないか?」 「………」 チャンミンはその後部屋を出ていった まったく…ホントに情けない兄貴だよ… .
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