―ハジメノセンタク―

2/6
前へ
/19ページ
次へ
?『こっちの苺アイスと、こっちの梨アイス二つ買ったんだけど…どっちがいい?』 満面の笑みで聞いてくる。 『んーじゃあ梨アイスで♪』 そう言い梨アイスを受け取る。 『くぁ~!冷たぁ~…』 アイスだから冷たいのは当たり前だが冷たい冬の風のせいか一段と冷たく感じた。 『それにしても鈴(すず)は本当にアイス好きだね~こんな真冬だってのに…』 この隣に座っている年がら年中アイスを食べている子は峰山鈴(みねやますず)。 ベリーロングの黒髪をブラブラ揺らしながら満面の笑みで苺アイスを食べている。 鈴『アイスに季節なんて関係ないよ!!このひんや~り冷たい感覚☆美味~~』 ひんやりどころではないと思うが… っと。 友達の紹介をして自分の自己紹介をし忘れていた。 私の名前は風見翠(かざみすい)。 鈴とは違い、何の特徴もないちょー一般的なJKだ。 そのせいかもう18だというのにロマンチックな経験はしたことがない… 翠『そう言えば鈴、どこの大学受験するか決まった?』 そう。私達はれっきとした受験生。 そして今の季節は真冬。 もうタイムリミットが迫ってきているのだ。 それなのに私も鈴もまだどこの大学を受験するかきめていないのだった。鈴『うぅ(;_;)それがね…成績がダメダメでさぁ…(泣)もう就職しようかな…』 今の現代。 夢がないのに社会に出たらそれこそ闇― どうにかして大学に進学したいところだが… 翠『でも一応志望校は決まったんだ。』 鈴『まぁね…絶望だけど…(-.-;)翠は?』 翠『私は…まだ。』 鈴『あ、そうなんだ…。てか妹ちゃんの具合はどう?今日はお見舞いに行くの?』 私の妹は現在駅前の病院で入院中。 理由は生まれつきの喘息。 いつもは季節の変わり目に発作が起こるのだが一昨日珍しく発作が起こったのだった。 翠『勿論行くよ。でもまだ退院できそうにないかな…』 鈴『そんなに重いの?平気?』 心配そうに聞いてくる。 翠『うん、平気。お医者さんも様子を見てるだけって言ってたし☆』 鈴『そっか…。あ!じゃあこれあげる!』 と出してきたのはミント味のアイス。 翠『ちょっ…いくつ買ってんの…(-.-;)』 鈴はまた満面の笑みになる。 鈴『へっへ~ん☆これ私のお気に入りの味だから♪』 んなこと聞いてないよ… っと。 近くにある時計を見ると4時を過ぎていた。 翠『あ!もう行かなきゃ!ばいばい!』
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加