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翠『ちょ…!どうしたの!?何かあったの?』
ゆうは泣き続けている。
パタパタとうわばきの音が聞こえる。
それは看護師のものだった。
目の前には大泣きしている少女…
誤解は逃れられない。
とりあえず病室に入ることにする。
私は小さなゆうの手を繋ぎベッドまでいく。
翠『大丈夫?』
ゆうの顔を見るとさっきよりは落ち着きを取り戻してるようだった。
(この分だと泊まりだろう…)
仕方がないので私は泊まることにした。
翠『ゆう。今日はお姉ちゃんが泊まってあげるから、もう泣くのをやめて?』
ゆう『ぅん…』
こくりと頷く。
とりあえず看護師に話しに行かなければならないので…
翠『ちょっと看護師さんとこに行ってくるから待ってて。』
そう告げるとゆうの目が再び潤む。
翠『すぐ戻るから☆ね?』
そうにっこり笑ってみせると小さな小指を出してきた。
(本当にすぐ戻るんだけどな…(-.-;))
落ち着かせるためにしょうがなく私も小指を出す。
翠『ゆーびきーりげんまん…のーます!』
指をはなす。
すると安心したのかやっと笑みが戻ったのだった。
翠『じゃあ行ってくるね。すぐ戻るから。』
こくりと頷く。
廊下に出るとまだ6時だというのに半分以上の電気が消えていた。
(随分早いな…)
ナースステーションを目指し少し小走りで歩く。
夜の病院は私が思っている以上に気味が悪かった。
明かりが見える。
ナースステーションの受付まで来る。
翠『すみませ~ん!』
声をかけると20代の若い看護師が出てくる。
看護師『どうなさいましたか?面会時間は終了していますよ?』
翠『はい…あの、今日1日泊まらせてもらえないでしょうか…』
看護師は少し困ったような顔をしたがすぐに笑顔に変わり
看護師『ええ。構いませんよ。毛布をお持ち致しましょうか?』
そう聞き返してくる。
翠『いえ。大丈夫です。有り難うございます。』
いえいえといいながら看護師は一枚の紙を差し出してきた。
看護師『部屋番号と患者様のお名前を記入してください。』
といいペンを差し出してくる。
私は有り難うございますと行ってから妹の名前と部屋番号を書き始め、それを看護師に渡した。
看護師『風見ゆうさん。307号室の方ですね。わかりました。』
私は会釈をしてから妹の病室へと小走りで向かう。
(まさか泣いてないよね…)
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