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そんなことを思いながら病室の前までやってくる。
病室に一歩足を入れた瞬間…
『いやあああああああああああああ!!』
つんざくような悲鳴が聞こえる。
声は私の入ろうとした病室の中からだった。急いでゆうのいるところまでかけつけると―
ベッドはもぬけの殻になっていた。
その代わり窓が開いていたのか綺麗なピンクのカーテンがひらひらと風になびいている。
まさか…と思う。
考え始めると不安が倍増する。
窓へ一歩…恐る恐る近付く。
一歩また一歩…
カーテンのなびきが顔に当たる。
それと同時に冬の冷たい風が肌にひしひしと伝わってくる。
ふぅ…
一息はく。
バッ!!
一気にカーテンを開ける。
脳が危険信号を発しているがそれを無視して勢いよく下を見る。
直後上から声がする。
?『第一問。梨と苺あなたはどちらが好み?』
意味が分からない。
そんなことを思いながら上を見上げる。
するとそこには私の探し求めている姿がぶらぶらとぶら下がっていた。
翠『ゆう!!』
あまりの驚きに大声で名前を叫んだ。
気絶しているのか名前を読んでも気付かない。
ビュービュー…
風の勢いが増す。
それに合わせてゆうの体もぶらぶらと揺れる。
ゆうは屋上の金網のところに両手を縛られ吊るされていた。
病院は三階立て。
下はコンクリート。
想像したくないことが頭を駆け巡る。
翠『誰か!誰かゆうを助けて!誰か!』
?『ちょっと!無視しないでくれる?質問に答えなさいよ!』
再び上からの声。
黒いマントに黒いブーツ。
現代的に考えられない長さの水色の髪。
それに髪の色に合った深い水色の目。
何よりも印象的なのは左頬に大きな蝶の形をしたタトゥが刻まれていることだった。
私はそのあまりの異様さに言葉を失った。
すると再び声が聞こえてくる。
?『あんたさぁ、さっきから何回言わせるわけ?早くしないとこの子死んじゃうよ?いいの?』
その言葉に一瞬で我にかえる。
翠『死ぬってどういうこと!?それにあなたは誰なの!?』
黒いマントをなびかせながらその少女は言う。
?『この子は一つ重大な罪を犯した。あなたの選択によってこの子がどんなことになるか決まる。その中に[死]という結果もあるってこと。以上。お分かり?あ、名前は秘密☆』
全く分からない。
そんな私の気持ちなどお構い無しに…
?『第一問。梨と苺どっちが好き?』
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