10人が本棚に入れています
本棚に追加
川の方に向かって、タテガミ達が威嚇を繰り返している。
ギィヤッ うわぁっ!
叫び声が平原に響く、この時、何が起こっているのか突然命を刈り取られた本人達にも解らなかったが、サマリー達は叫び声をあげる若者達の側にライオンの数倍はある黒い物体を見た。
「何だあれは?」
全体的に黒くゴツゴツした姿は岩が動いているような錯覚を起こす、突然長細い先端部が開くと戦士の血で真っ赤に染まっている事が判る、地鳴りのような咆哮をあげ一人の戦士をはさみ上げた。
「あれは口か?」
キバの様な鋭いトゲが戦士を引き裂き、バラバラになった肉塊を飲み込んでいる、確信は持てないが生物である事が解る、黒くゴツゴツした体は舟の様に長細いが、その大きさはライオンの背丈近くある、先端部(口?)は開くとライオンでさえ丸ごと入りそうだ。
「サマリー!あれは何だ?」
サマリーも初めて見るモンスターだ、ウェインの問いに答える事は出来なかった。
「解らん!初めて見るモンスターだ!」
こいつのせいでライオンがおかしな行動を取ってたとしたら、タテガミが10頭集まっても勝てない相手って事か。
「ウェイン!こいつが何だか解らんが必ず仕留めるぞ!」
タテガミが10頭集まっても勝てないとしたら、こいつが一匹ではなく仲間がいるとしたら、この辺りの生物はこいつらに皆殺しにされる、最初の一匹を倒せなければ、ザイルの町も全滅しかねない。
サマリー達がつく前にタテガミの群れが飛びかかっていた、だが、ライオンの爪もキバも傷をつける事すらできていない、近づいて見ると長細い体に足が付いている、ライオンのキバを全く意に介さず歩いている。
ギャウッ!
奥のライオンが突然中を舞った。
「しっぽ?しっぽが付いているのか?」
ウェインは走りながらも、初めてみるモンスターを目を輝かせて観察していた。
しっぽと言うにはあまりにも太い、大木の様な物体がライオンを襲う。
前方には鋭いキバ、後方はライオンをも弾き飛ばす大木の様な太い尾、スキが無い、こんなモンスターが今まで何処に隠れてた?
タテガミの攻撃でも体に傷を付けられないとなると、攻撃出来る場所は限られている。
「ウェイン!目を狙うぞ、右に回り込め!」
とはいえ近づくだけでも危険だ、体に対して小さすぎる目を狙うとなると無策で突っ込めば死ににいく様なものだ。
最初のコメントを投稿しよう!