そういう日常

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「ただいまー…」 「ただいま~~」 中部地区のとある県のとある住宅街で、とある2人の兄妹は2人同時に家に帰り着いた。 男の方は、今は高校2年生であり、妹はまだ中学生である。 しかし、中高一貫であるために、帰る時間が合わない事もない。それに、この妹は良くできた事に、いつも兄を待っていてくれるのだ。 しかし最近では、部活を辞めた為に、兄が妹に待たされている(大概は泣かれるのが嫌だからだが)のだ。 「あ、もうお姉ちゃん帰って来てるんだね」 「みたいだな」 そう短く返す。 元気に玄関で靴を脱いだ妹、枢木柚々(くるるぎ・ゆゆ)は、肩まである黒髪とちょこんと立っているアンテナアホ毛を揺らしながら、リビングに入っていった。 なんて事ない、いつもの日常である。 ガチャリ………… 兄である枢木巽(くるるぎ・たつみ)も妹を追うようにリビングに入った。 我が家ながら、なかなか広々としたリビングのソファーには、さっそくジュースを飲んでいる柚々と、もう1人の妹が──いた。 「あはっ、マジで?あり得ないんですけど~~!…うんうん、はははっ!ちょっ、違うって!」 どうやらお友達と熱心に通信中らしい。 「だいたい───」 と、妹はチラッと巽を見たものの、まるでゴミを見るような(いや、まさに汚いゴミを見たような目つきだったが、流石に胸が痛むので)表情になり、すぐに会話を再開させた。 なんて事ない、いつもの日常である。
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