帰国した悪魔

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「秀樹 政和 オマエらもよく聞いておけ くだらねぇ事でパクられるのは ただの馬鹿だ 無駄死にするのも同じく馬鹿だ 映画や漫画の様に格好良くなんて程 世の中ってのは都合良く回っちゃいない リスクって物は最小限にして 自分の手抜きや注意不足からのミスをするな 常に最悪の事態を想定して いかなる状況に陥れられようと 即対応出来る様に行動する それが裏社会で生き残る為に 最低限必要な知識だ」 俺は タバコの煙を吐きながら一呼吸入れ 「太田駅から熊谷駅にバスで向かえば 市営バスが検問に引っかかる事も覆面に止められる事も無い 熊谷駅からの電車も赤羽駅までなら電車の中や駅構内で職質をされない 赤羽からタクシーに乗れば無事に新六本木署の渡辺課長のとこにたどり着けるだろう 俺はあくまでデータ上 危険度が低いリスクの話をしているだけであって 絶対に安全だと言っている訳じゃない もし仮に情報が漏れているとすれば バスを使おうが電車を使おうが無意味に終わる 俺の考えよりも自分で良いと思う移動手段があるなら それはオマエに任せるが」 俊明は考える様に眉をしかめながら 「ここから直接タクシーで行ったのでは駄目なのですか? 最後はタクシーで新六本木署に到着する訳ですし...」 俺は俊明の言葉が終わるより先に 「それは 駄目だ」 俊明は即答で駄目だと言われる意味を理解出来ず 悩んでいる 政和も秀樹も 何を考えているのか難しい顔をしている 「オマエらが一番最初に俺に言った言葉を 忘れたのか? 」 3人は 思い出そうと 必死の様だが さっきの爆薬での恐怖で その前の話など 頭の中から消え去っているのだろう 「何故 俺が荷物まであるのに 空港リムジンバスを使って こんな田舎まで来たのかって 俺に言っただろ?」 3人は あっ..と声をあげたが そのまま黙っている それとこれとが どう関係するのかが理解出来ないのだろう 俺は溜め息混じりのタバコの煙を吐いて 「それが 今話している事の答えを結び付ける」
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