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「おぅ オマエら 腹は一杯になったのか?」
俺が3人に問いかけると
「はい もう腹一杯です」
と政和は腹を擦りながら言った
俊明も秀樹も 同じ様な事を言っている
俺はタバコに火をつけ
「そうか それじゃオマエら 飲みにでも行って来い」
俺はスーツの内ポケットから適当に札を掴み テーブルの上に置いて
「こんなとこで 酒飲んでても 楽しくねぇだろう むさ苦しい男のツラ見て酒飲むより 可愛い姉ちゃん居る店でも行って 酒飲んでくりゃいい」
秀樹は焦った様な顔をして
「いえ 大丈夫です 涼太さんと広志さんも もうすぐ到着すると思いますし」
俺はタバコの煙を吐きながら
「涼太と広志が到着するには まだ1時間はかかるだろう アイツらは 俺がここに居るから大丈夫だ」
俊明は やけに真剣な顔をして
「明日の事もありますし 自分は飲みに行きません ここに龍司さんだけ居てもらって 何かあったら困りますし」
俺はくわえタバコの紫煙を燻らせながら
「馬鹿野郎 俺に何かある訳ねぇだろ そんな心配をオマエらにされる程 俺は情けねぇ男か?」
俊明は強く否定して
「いえ 何かっていうのは そういう意味じゃないです 雑用する人間が一人は残った方がいいかと思いまして」
俺は溜め息を吐き わざと疲れた顔をして
「俺はな 介護が必要な老人じゃねぇんだ オマエが一人で残るなんて言ったら コイツらだって行きにくくなっちまうだろう」
俊明は申し訳なさそうに
「すいません でも本当に 自分は明日の事もありますし 飲みに行くのは控えようと思っています」
俺は半分あきれた顔でタバコの煙を吐き
「オマエら 俺がやれって言った仕事は必ず実行するんだよな?」
突然の俺の問いかけに 3人共一瞬の間を置いて
「はい それは もちろんです 仕事は何でもやります」
政和が得意気な顔で答えた
俺は間髪入れずに
「そうか それなら これは仕事の命令だ 秀樹と政和は 飲みに行け 俊明は ここに残って雑用係だ 涼太と広志が来たら オマエらと合流する それまで先に飲みに行って いい女でも見つけとけ 俺はフィリピンからの長旅で疲れたからな 涼太と広志が到着するまでの小一時間 少し横になろうかと思ってただけだ」
秀樹と政和は仕方無さそうに席を立ち
「わかりました 先に行っています 俊明 後は 頼んだぞ」
俺はタバコを消して ひじ掛けに頬杖をつき 目を閉じた
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