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(はぁ...明日は本当に大丈夫かなぁ..やっぱり不安だよなぁ 刑務所とか入りたくないし...)
俺は そんな事を考えていると 突然
「俊明」
と龍司さんが目を閉じたまま 俺を呼んだ
俺は一瞬 驚いて焦ったが
「はい」
と冷静そうに返事をした
龍司さんは目を閉じたまま ひじ掛けに頬杖をついた状態で
「明日の事は それほど心配するな」
俺は自分の考えを見透かされている様な気がして 恥ずかしく思った
「.だ..大丈夫です 何も心配してないです」
心配でも こう答えるしかないんよなぁ なんて考えながら 心配するなって言われて余計に心配になってる 自分の心の弱さに 嫌気がさした
「どんな事でもな 初めてやる事ってのは 皆 緊張するもんだ 終わってみりゃ 別にどうって事なかった なんて思える様な小さな事でもな」
そう言われた俺は
「はい」
としか答えられなかった
龍司さんは そのままの姿勢で
「今の緊張感 その感覚ってやつを忘れるな」
俺はまた
「はい」
と返事をした
俺は龍司さんの言った言葉を 頭の中で繰り返し 緊張感? 感覚? 俺は何故 そんな事を言われるのか よくわからずにいた 龍司さんも 緊張するのだろうか?そんな事を考えながら......そのまま しばらく経過し 龍司さんは寝ているのか 起きているのか ひじ掛けに頬杖をついたまま 目を閉じている
俺は何となく重い空気というか 目を閉じて静かに座る龍司さんを見ているだけでも 何故か威圧感というか 息苦しい気がして落ち着かなくなり
「タバコ 失礼します」
と言い タバコに火をつけた
俺の言葉に龍司さんからの返事は無かった
きっと寝ているのだろう そう思いながら 俺はタバコを吸っていた
龍司さんて 本当に謎だらけの人だよなぁ 龍司さんって名前も本名じゃないらしいし 噂じゃ国籍も何ヵ国も持ってて 英語 韓国語 スペイン語 ポルトガル語 あとなんだったかな 何ヵ国もの言葉を話せるって 涼太さんか誰かが言ってたよな 頭も切れるし 知識もはんぱじゃない いったい どんな生き方して来たんだろう? 身体も軍人っていうか あの肩幅に胸板の厚さで太い腕 しかも傷だらけの全身に刺青 女にモテるのも 分かる気がする 男から見ても格好いいもんなぁ
顔にある切傷も似合ってるっていうか この人の魅力の一部って感じだし 本当に映画の中から出て来たような人だよな
俺も いつかは なれるかな...
一流のワル(悪党)に...
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