俊明の決意

4/24
前へ
/46ページ
次へ
俺は 優越感というか 何とも言えない不思議な感覚に包まれ まるで自分が一流の悪党にでもなったかの様に 胸を張って背筋を伸ばしていた... きっとバカな俺の顔は にやけていたのだろう 「俊明! テメェ何をボケッとしてやがるんだ! 火だ 火!」 俺は涼太さんの声で 妄想の世界から 一瞬にして現実世界に引き戻された 俺の隣で龍司さんがタバコを吸おうとして タバコを口にくわえた 「あっ あぁ えっ すっすいません いっ今 ひっ火を...」 俺は慌てて ポケットの中のライターを探した キーン と龍司さん愛用のライターが響き 俺のライターは 間に合わなかった 「馬鹿野郎 ボケッとしやがって」 広志さんの言葉が胸に刺さる 龍司さんは くわえタバコの紫煙を燻らせながら 「いいんだ 気にするな 誰かにタバコの火をつけてもらう程 俺は偉い人間なんかじゃねぇ」 やっぱり この人は違うな 本物の男だ こんな一言でも 渋さが違う 俺もこんなセリフが似合う男になりてぇな ( 誰かに タバコの火をつけてもらう程 俺は偉い人間なんかじゃねぇ ) マジ 格好いい... おっと 危ねぇ危ねぇ また妄想モードでボケッとしてたら 今度はさすがに広志さんあたりから ぶん殴られるだろうからな 気を引き締めて行こう 龍司さんはくわえタバコの紫煙を燻らせながら 「先日話してた件だが 品物は用意出来た これを近日中に 李へ届けてくれ」 龍司さんはアタッシュケースを開いた 涼太さんは中身を確認し 「さすがですね C-4に 92シリーズのベレッタ 2丁と... あれ? これって AR-7じゃないですか!? なんでこんな物まで?」 龍司さんは少し驚いたように 「オマエ AR-7なんて良く知ってんな」 涼太さんは得意気な顔で 「映画の007 (ロシアから愛を込めて)でジェームスボンドが使ってた サバイバルライフルAR-5をセミオートマチック仕様にしたやつですよね? 自分007好きなんですよ」 龍司さんは平然とタバコの煙を吐きながら 「俺は007は知らねぇが 確かにこれはAR-7 重さ1200グラムの小型ライフルで パーツを全てファイバーグラス製のストックに収納出来る携帯には便利な物だ」 俺には既に難しい話を耳にしながら やっぱり涼太さん達も 色々と詳しいんだなぁ なんて思って 黙って話を聞いていた
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

82人が本棚に入れています
本棚に追加