帰国した悪魔

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「あはははっ まったく情けねぇヤツラだ C-4ってのはな衝撃与えたり切ったりしても爆発はしない 火をつけても燃えるだけだ オマエらと自爆テロして無理心中するような思想を 俺はあいにく持ち合わせちゃいない」 3人は凍りついた様に固まったまま 返事も出来ずにいた 「オマエらには難しい話かも知れねぇが これはニトロトルエンやニトロセルロースとかを混合した油状の物質をトリメチレンニトロアミンと合成した混合爆薬でな 安定性が高く 戦場じゃ兵隊が湯を沸かす固形燃料の代用品に このC-4を使う場合もある 勿論 本来の使い方は爆弾であって固形燃料じゃない訳だが 簡単に言えば 専用の信管を使わなけりゃ爆発する心配はない爆薬で 信管ってのは爆薬を爆発させる為の起爆装置って事だ しっかり覚えとけよ」 人に何かを覚えさせたり忘れられなくするには こういった恐怖心や衝撃と一緒に脳裏に焼き付けるのが一番だ 体に刻み込まれた記憶って物は なかなか消えるもんじゃない 俺はタバコの煙を吐きながら障子を開け 温度差で曇った窓ガラスにかすむ外の街並みに目を細めた 「冬の日本ってのは 寒いもんだな...」 俺がそう呟くと やって落ち着きを取り戻したらしき3人が 「はい..マジでヤバイ位に寒いっす」 「外歩くと 耳とか手が痛くなりますよ」 「フィリピンは やっぱり暖かいんですか?」 ようやく固まった体が動く様になったのか 次々に口を開いた 俺は溜め息まじりに煙を吐いて3人の顔を見た 「オマエらの中で執行猶予の弁当持ちとか 懲役行って前科がある奴はいるか?」 3人は顔を見合わせ 「自分は以前に監獄に入ってた事がありますが 政和と俊明は前科も弁当もありません」 と秀樹が言い 3人はその後に続く俺の言葉を待った 「そうか 帰国早々だが 俊明 オマエは明日 これを警視庁新六本木署の渡辺課長のとこに持って行け」 俺は話ながらアタッシュケースの中のTT1930を取り出した 「えっ...!?なっなな..なんでですか??」 俊明は驚き 秀樹と政和も馬鹿ヅラさげて口をポカンと開けている 俺はくわえタバコの紫煙を燻らせながら 「小僧 俺の話は最後まで聞け」 俺は悪魔と囁かれる眼光で一瞥し コイツらを眼で殺した 眼で殺すとは よく言ったもので 腹を空かせた猛獣の前に立たされた子犬の様に 3人は恐怖に満ちた瞳で金縛りにでもなったかの様に縮こまった
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