帰国した悪魔

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俺は油紙で包んだトカレフをテーブルの上に置き 「俺がさっきオマエらに聞いただろ? 前科も無く執行猶予中じゃないかって事を 拳銃はなギョク無しで持って行く 形式的には自首っていうか 届け出るって形だ 渡辺課長に直接な そうすりゃ何故 拳銃を届け出る事になったかの経緯を調書取るから 私は外国人から拳銃を手に入れたが 今は心を入れ替え反省し 拳銃による犯罪を一件でも減らそうと考え 所持していた拳銃を届け出ましたって形にする それが前科も何も無い人間が行けば懲役に行く事は無い 最初から調書にする内容も話は出来てる事だから オマエは心配する必要は無い 調書は渡辺課長が上手く作ってくれる」 そこまで聞いても俊明は不安な様子で 「でも 裏切られるとか騙されるって事は無いんですか? 相手は警察ですよ...」 俺は俊明の目をしっかりと見据え 「確かにな 世の中 何事にも完璧とか絶対って事は無い 俺の様な裏社会で生きる人間は いつしか闇から闇に葬り去られるだろう ただな 今はまだ その時じゃ無い 渡辺課長が俺を裏切ってオマエをパクれば 俺とのパイプを失う事になる 初犯の小僧一人を銃刀法所持違反で挙げるより 彼は俺とのパイプを継続する気でいる その方が定期的に欲しい情報も挙げたいネタも手に入れられるからな」 俺は3人を見渡し 「それ以前に俺はオマエらを懲役になんか行かせやしない 俺達はヤクザじゃねぇから 仁義もなけりゃ任侠道も義侠心もねぇが ただ俺達はファミリーだ 家族を守る為なら俺は いつでも命を捨てる腹はくくっている オマエらが俺の家族なら オマエらの腹ん中も同じだろう 戦場で地雷原を歩くなら俺の後ろを歩きゃいい オマエらが自分自身で道を切り開けるまでは 俺がオマエらの歩ける道を作ってやる パンが一つしか手に入らなけりゃ 俺達家族で分けて食えばいい オマエらは そんな俺の生きざまってやつを理解しているからこそ 俺のとこに居る 違うのか?」 3人は俺を見つめ その眼には意志を再び確認したであろう光を宿していた
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