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「秀樹 今 何時だ?」
「もう少しで21時になりますが」
「21時か 涼太と広志は新宿か? ヤツラを呼べ」
秀樹はすぐに携帯電話で連絡をとり
「2時間で来るそうです 23時前には到着すると言っていました」
「そうか 2時間かかるか 群馬までとなると距離的に まぁ仕方ねぇな」
俺はタバコに火をつけ
「俊明 ヤツラが到着するまでに明日の段取りを説明しとくぞ」
俊明は返事をしてかしこまった
「まずな 明日は太田駅からバスで熊谷駅に向かえ 熊谷駅から電車に乗って赤羽駅で降りろ そこからタクシーで渡辺課長がいる新六本木署の入り口まで行け 警察署の中に入ったら渡辺課長を受付で呼び出してもらって 後は彼の指示に従う それで任務完了だ」
俺が明日の流れを一気に言い終えると俊明は
「どうして そんな面倒な行き方するんですか?」
と 素人らしい いかにも当たり前の質問をして来た
俺はくわえタバコの紫煙を燻らせながら
「答えは簡単な事だ オマエは明日 何を持って東京に行くんだ? いくら話が出来上がってる事と言っても 署に出頭して届け出る以前に 検問や職質に引っかかったら 銃刀法所持違反でパクられるぞ その場合はオマエが懲役に行く事になる あくまでも今回の件は俺と渡辺課長との個人的間柄の話であって 勿論 表向きに公表出来る話じゃない 国家公務員と裏社会の人間の関係に契約書なんて物は無い 暗黙の了解ってやつだ もしオマエが届け出る以前に逮捕されちまった場合は 俺も渡辺課長も どうする事も出来ない それを理解しろ」
俊明は黙って俺の話に耳を傾けている
「都内はな どこを歩っていても職質ばかりだって事は オマエも知っているだろう 俺が新宿や池袋を歩けば 1日3回は職質されるからな 俺に何度声をかけようと その辺の素人じゃあるまいし 逮捕される要因なんて何一つ持ち歩く訳もない もうちょい職質かける人間を見る視点を変えりゃ 検挙率は急上昇するだろうが 仕事とはいえ まったく制服警官ってやつは 毎度 ご苦労さんなことだぜ」
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