0人が本棚に入れています
本棚に追加
電車は思ったより音が静かで玲は寝ていた。
もしくは寝ていたから電車が静かに感じたのかもしれない。
どちらにしろ、朝は眠い。
朝が得意な人間はきっと責任感が強い人間だけだ。
無責任なら起きる必要がない。
赤坂はそんなことを考えていたが眠れなかった。
電車は停車と発車を繰り返し、正確に止まる。
素直にすごいと思っていた。
「…………」
電車が駅で止まり、何気なく前を見ると同級生の姿が見えた。
その同級生を見る度に体の奥から憎しみが湧いてくる。
理由はわからない。
「久しぶりだね」
「? あ、おはようございます」
彼女は光莉、よく騙されるくらい正直な人間だった。
玲の同級生であり、騙されても玲を信じる人間だった。
騙されても信じるというのは玲にも理解不能だった。
わからない人間だった。
そして玲の嫌いな人物だった。
最初のコメントを投稿しよう!