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「すごい人ですね」
「嘘。本当はいない」
「そうなんですか?」
「……の反対」
「じゃあいるんですね?」
その問いかけには無視をした。
そして顔を歪ませる。
信じている、というよりは馬鹿にされてる気がしたからだ。
話した言葉全てを鵜呑みにする。
かつて騙して傷つけても未だに玲を信じるということが気に入らなかった。
「君は俺を怒らせているのか?」
「違いますよ。私、頭悪いから全部信じちゃうんです」
「君は常に成績が上位だ。学年で常に10番以内と聞いた」
「成績は関係ないです。テストは覚えるだけですから。だから応用ばっかりのテストだったらきっと低いです」
それは教師の言うことを信じているということだった。
正直者は馬鹿だ、と言いそうになり、止めた。
電車は駅に着いていた。
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