猟奇的事件

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何度か叩くと、カーステレオは悪気の無かった様子で軽快な音楽を響かせ始める。 「よしっ!」 彼女はステレオを呆れた様などこか愛おしそうな眼差しで見ると、再び運転に集中する。 この真っ直ぐ伸びた道を走り、彼女が目指す町は、国境のすぐ側にある小さな田舎町、フリグスと言う小さな町だった。 そのすぐ側には、国内で二番目に大きな森がある。 その森に囲まれた町は、農業が盛んで気候や土に恵まれていて、小さいながら豊かな町であった、半年前までは……。 半年前、豊かな町に不可解な事件が起こった。 それが全ての始まりだった。 まず、町の入り口に猫の死体が、まるで見せつけるかの様、ぶら下げてあった。 それだけならただの悪質な悪戯で片付けられる話しだが、その猫の死体には不可解な点があった。 腹を切り裂かれ、臓物が全て地面に撒かれていたのだ。 “悪戯にしては悪質すぎる” 村人達は口ぐちそんな話しを始めた。 村人はこれで不可解な事件は終わりだと、続く訳がないと誰もがそう思っていた。 しかし、深い霧の夜が明けた朝。 人々の悲鳴が町中に響いた。
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