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そうして魔法陣から聞こえる誰かとの会話を終えて一息、再び優しく澄んだ双眸がこちらへと向けられる。
「さあ、これからが腕の見せどころよ。頑張ってね、オルトくん」
目の前の女性が向ける期待を込めた眼差しに、
「もちろんです。そのために、ここへ来たんですから」
若干弾んだ口調になってしまった。
長年の夢が叶う瞬間――、正確にはその夢を叶えるための大きな門出なのだ。仕方がない。
ああ、そうさ。仕方がない。
どれだけこのときを待ち焦がれたことだろう。
修養を積み、幾多の研鑽を重ね、優秀な学友たちと全霊をかけて競い合ってきた。
ようやくその成果を生かせる。
これ以上に嬉しいことはない。
意気揚々。
端から見れば不気味であったかもしれない。しばらくして、奥に掛かった垂れ幕から一人の少女が顔を出すそのときまで、俺は自分の胸の高鳴りに身を興じていた。
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