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「――と、いうわけで! 以上でギルドの説明は終わります。何かわからないことがあった場合は、私やメルシーナさんはもちろん、係員の面々誰でもにお訊きください。なんでしたら、ギルドに所属されている『剣衛士』(ブレイダー)の皆さんでも結構ですよ? 交流の第一歩としてはいい機会になるかもしれません」
そう元気よく喋るのは先程メルシーナさんに呼ばれた少女である。
短く整えたられた栗色の髪と、くりくりした大きな瞳が特徴的な彼女の名はコレット・マーレス。年の頃はどうやら俺と同じく十八らしい。
「ああ。ありがとう、助かったよ。また入り用になったときはよろしくな」
「はい! こちらこそ、これからよろしくお願いします。オルトさん」
俺は素直に謝礼を述べる。
結局、彼女の積極的で円滑な説明とは裏腹に、ここへ来てから既に一時間は経とうとしていた。
基本的に、持っていた予備知識で充分補える説明ではあったものの、やはり実際に目で見る分、新しく得られたものは多い。退屈することなく時間を過ごせたと言っていいだろう。
▽ ▽ ▽
さて、ここはギルド『エアリスハティ』。この広大なセントルシア王国で五つしかないブレイダーズギルドの内の一つだ。
『剣衛士』(ブレイダー)とは簡単に言い表すなら危険な仕事を請け負うための何でも屋さん、といったところだろう。魔獣の討伐や、それらから穫れる武器や薬などの材料収集及び配送、数日単位での依頼人護衛などが主な仕事内容である。
つまり、ブレイダーズギルド=何でも屋さん派遣所とでも捉えておけばいい。そして、俺も今日から晴れてそこの一員となったわけ。
――で、商人ギルドや漁師ギルドなども含め、ギルドというのは基本的に国が運営しているわけなんだが、ブレイダーズギルドというのはその中でも代表的で、多くの人材や資金を国王が提供・援助してくれている。
それもそうだ。なんせ、人の命を左右する仕事なのだから。
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