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「そっちは必要日数は似たもん同士なくせに、護衛のと違って報酬も"スコア"も少ないんだぜ? しかも一応、急ぎじゃないから報酬は少なめに指定されてるが、ポルタの村にいくための山道でも獣は出るし、下手すりゃ"魔"のつく方も出ちまうんだ。……僅かな差とはいえ、危険度から考えればもう片方のが無難だと思うがね」
なかなか意地の悪いことを言ってくれる。きっと、こう返されることをわかっての台詞なのだろう。
「さっきも言ったでしょう?下の依頼をゾンザイに扱う気はありません。それなら日程が決まってるいる左より、余裕はあっても大切な届け物を扱う右ですよ。護衛は他の人に任せます。薬箱は明日にも必要となる場合が、万が一にも考えられますからね。目についた以上は優先して受けないと」
そうして俺は流暢に説明した後、
「まあ、自分のペースで馬を走らせるのが好きだから……というのも、理由の一つではありますが」と後付けの設定を加えた。
羞恥プレイはあまり好きじゃない。こんな真面目で臭い台詞を言わされることへの小さな抵抗だと思ってほしい。
「がっはっはっは! そうだな! その通りだ!! お前さん、若ぇのにちゃんとした考えを持ってるじゃねぇか。安心したぜ!」
今度はカウンターテーブルがバンバンと叩かれる番だ。
ガンテツさんは景気の良さそうな顔をして、なおも言葉を続ける。
「よぉし! 褒美に依頼達成時のスコアを少し上げてやるよ! なぁに、気にすんな。報酬については別だが、元々スコアの方はどう見ても、少しとはいえ危険が多いこっちが高くなるべきだったんだ。ウチの連中は採点が甘ぇんだよ、まったく」
なんと。恥ずかしく思っても、やはり本心であれば大事なことは言ってみるものである。
ちなみに、先程から話に出ている"スコア"とは、特定条件でギルドからブレイダーに与えられる固有点数のことで、それを貯めてブレイダーランクを上げていくというのがこの王国でのシステム。
偉くなりたければ民のためにたくさん貢献しろ、というとても明快なルールだ。
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