第一章 旅の始まり、十色の仲間たち

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  「はっはっは。このギルド付近では新鮮な海魚が食べられませんからなぁ、それも致し方ないでしょう。遠出を楽しめたようで何よりです」 「アクワスといえば、オニスルメの干物ですかね~。お酒の肴に買ってきてもらえば良かったかしら」  知人の帰還に和やかな出迎えをする二人。  う~ん、新人の俺には何だかアウェーな感じがするなぁ。  そんなことを考えながら、先程もらったサンドイッチにかじりついていると、 「おう兄ちゃん! いいモン食ってるじゃねぇか! 俺もよ、ここのティックサンドは大好物だぜ!」  何だか、ジェイルと呼ばれていた暑苦しいのが食いついてきた。 「なんです、あげませんよ?これは俺がもらったものですから」 「"もらった"だぁ!? 兄ちゃん、まさかおつかい頼まれたのか! ちくしょう! こんなことなら俺もオニスルメ買ってくるんだったぜ!」  どうやらクレアさんはギルドの人間におつかいを頼む癖――もとい、そういったサービスをいつも行っているらしい。要は、ご飯を奢るからおつかいに行ってきてくれ、と。 「よし! クレアちゃん! 俺にもティックサンドを! あとマスター! いつものオレンジジュース!」  切り替えが早い。  先ほど見せた悔恨の表情を消し飛ばすかのように、彼のテンションが一気に上がった。  ……っていうか、"いつもの"オレンジジュースって趣向がちょっと子供じみてるな。やたら騒がしいのも含めて。 「あー、マスター。私はグレヌージュの赤ワイン。料理は…………いいや、腹減ってねぇし」 「それじゃあ、僕はチップサラダと黒パンとミルクでお願いします」 「はい。では、少々お待ちください」  ライアンさんが答える。  左手の調理場からは炎が立ち上る。今度は見逃さない。クレアさんは手際よくいくつもの材料を重ね上げ――そして完成。  
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