悪魔率30%

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「ふう…。」 8畳くらいの部屋。 左にベッド。 右にテレビ。 真ん中に机 玄関の正面に台所。 至って普通の部屋だ。 「…。」 徐に少女に近づいた。 「ほら、これで鼻を拭け。」 少女にティッシュを渡した。 「…。」 ふるふると震える手でティッシュに触ろうとした。 「…ここだぞ?」 なかなか取らないので、ティッシュを彼女の手に当てた。 クシャ ようやくティッシュを握った。 「お前…。」 弥一が彼女をじっと見た。 「…。」 ゆっくりと鼻を押さえた。 「目が見えないのか?」 「…。」 言葉も発しない。 ふと彼女の顔の近くで、手を振ってみた。 「…。」 全く目が反応しない。 「…。」 このまま返すのは…。 そう思った。 「おい。お前家族いるか?」 「…。」 喋らない。 「声も出ないのか?」 「…。」 彼女は黙ってティッシュで鼻を押さえている。 露出している肌は真っ赤になっていて、季節に合わないワンピースを着ている。 「風呂沸いたから、入って来い。」 「…。」 あ、目が見えないのか。 「よっこらしょ。」 ガシッ 少女を抱っこした。 「…。」 抱き寄せると、抵抗することもなくただ身を縮ませていた。 渡したティッシュはもう真っ赤に染まっている。 ガチャ  「ほら、風呂。」 彼女を下ろした。 「…。」 動かない。 「…冗談だろ…。」 入れさせろって言うのか?
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