佐川さん家の美人妻

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「はは…。」 「酷かったんですよ。いきなりあいむちゃんの事で殴りあいになって、彼女泣いちゃったんですよー。」 真智留がペラペラと余計に喋る。 「夜羽の事だから、捨てて来いとか言ったんだろ?」 「はい。それで昨日喧嘩になって…。」 「ははは。若いうちはぶつかり合って、沢山痣作ったほうがいいぜ。老いたらもう出来ないからな。」 にかっと笑った。 「安保さんもまだまだじゃないですか。」 「いや、俺はもう油物がキツくなっちまった。もう老いた証拠だ。」 「まだ37じゃないですか。」 「37までこんな所に留まってるって、俺終わってるよな…。」 いきなり空気が変わってしまった。 「…。」 そして、何も言えなくなった。 ガタ 「ちょっと脅しに行ってくる。」 弥一がそう言って扉へ向かった。 「いってらっしゃい。」 真智留が手を振った。 カツ…カツ… 階段を下り、街に出た。 「ふあ…。」 でっかいあくびをした。 「…。」 眠い目をこすって、道を進む。 そういやまだ社長帰ってきてないな。 心配だ。 「…どこだっけ?」 金を貸した男の家に行かなきゃいけない。 脅して、出来れば金貰って帰るつもりだ。
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