佐川さん家の美人妻

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あいむがゆっくりと座った。 「あいむちゃん。」 真智留が顔を覗いて言った。 「お前、あいむ好きだな。」 「だって可愛いじゃん。抱きついて欲しかったな。」 ニヤッとしてまたこっちを見た。 「お前そのにやけ顔やめろ。腹が立つ。」 「しょうがないじゃん。そういう顔なんだもん。」 「お前元はそんな顔じゃないだろ。」 「じゃあ真顔になる?」 「やめろ。それはそれで恐ろしい。」 「じゃあにやけてる。」 「…。」 「そういや自己紹介してなかったね。」 「いいよ。お前の名前なんか。」 「俺はね、丹野真智留。漢字は説明するのめんどくさいからひらがなで覚えて結構だよ。よろしく。」 真智留があいむの手を握った。 「一々触るなよ。」 「えー?もしかして妬いてるー?」 「うっせ!」 「弥一は自己紹介したの?」 「してねーよ…。」 「すれば?」 「しない!!」 「弥一の事知りたいよね?」 「…。」 あいむが一度頷いた。 「ほら、して欲しいって。」 「…。」 あいむに言われたら…。 「俺は…下沢弥一。21歳。独身。」 「え?それだけ?」 「他になにがあるんだよ?」 「好きな食べ物とか…。好きなアーティストとか?」 「そんなもん誰もが鼻くそほじって聞くような奴だろ。」 「あいむちゃんはそんな事しないよ。」
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