佐川さん家の美人妻

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「もう…。」 地べたに大の字になって寝ているアラフォー男。 「あいむ。真智留の席に座ってくれるか?」 ガチャ あいむが立ち上がった。 「ほら。」 彼女の手を軽く握った。 すると、左足を踏み込んだ。 「下に安保さんいるから気をつけろ。」 ムギュ と言っているそばから、横顔を踏んでしまった。 「…。」 「ささっと来い。」 ムギュ ムギュ 2回踏んで、弥一の元へ来た。 「ここだここ。」 パンパンと、真智留の席を叩いた。 そこにゆっくり腰を下ろした。 「さて…。」 この人を移動しなければ…。 安保さんの両脇に腕を突っ込んだ。 「よいしょ。」 グイッ 「重っ!」 力を入れようと、自然と安保さんの顔が近づく。 「臭っ…。」 酒臭さが襲う。 「しょ!」 ドサッ 「ふぅ…。」 安保さんをデスクに伏せさせた。 「面倒のかかる人だ…。」 ■■■ 「帰るぞ。」 ガチャ 弥一が立ち上がった。 「じゃあね。」 隣の真智留が手を振った。 「ほら。行くぞ。」 彼女の手を握った。 ガチャ 「…寒っ。」 外へ通ずる扉を開けると、風が髪を揺らした。 「寒くないか?」 黙って首を縦に振った。 「お前、手が温かいな。」 今や手を繋ぐのも恒例となって、抵抗感は無くなっていた。 「社長怖くなかったか?」 あいむの首が横に振った。
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