あいむの父?

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あいむを保護して一週間。 俺の部屋に女物の服がありふれてきた。 歯ブラシやマグカップ、布団など数々の日常品はどれもペアを作っていた。 あいむも大分慣れたようで、意思表示もしっかりしてきた。 「あいむ!お前、また食べ物こぼしてる!」 「…。」 すごく申し訳なさそうに下を向いた。 「カーペットに染み付いたぞ。」 ガタ あいむが近くのティッシュを一枚取り、汚れとりに加勢した。 「ほら。ここだ。」 あいむの手首を握って、汚れの真上に移動させた。 ゴシゴシ 強くティッシュで拭いていた。 「力強くやりすぎだって…。」 弥一があいむに近づいた時だった。 ゴツン! 「!」 「いたっ!」 2人は額を押さえた。 「大丈夫か?」 彼女の顔を覗いた。 「…。」 何故か顔を隠して震えていた。 「泣くほど痛かったか?」 「…。」 あいむが片手を離した。 「お前…なに笑ってんだよ。」 肩を震わせて笑っていた。 頭をぶつけた事がそんなおかしかったのか、ずっと口を押さえていた。 「ったく。お前な…。」 あいむが笑う姿を見て呆れていたが、安堵もした。 「ほら。デコ押さえて頑張れ。」 そう言うと、あいむはまた右手を動かし始めた。
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