あいむの父?

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「丁寧にやれよ。…って場所ずれてるぜ。」 また手首を掴み、汚れの真上に移動させた。 ゴリゴリ 「あいむ!ティッシュがゴミになってる!」 力強くやりすぎたティッシュは、ボロボロに散乱し始めた。 「…はぁ。」 思わずため息をついてしまった。 「…。」 それを聞いて、彼女はまた申し訳なさそうな顔をした。 「いい。お前がボロボロにしてまでやってくれたおかげで、汚れが取れた。」 「…。」 目をキラキラさせていた。 「ほら、もう昼だ。テレビに森田さん出るぞ。」 タッ 彼女はこたつのあるリビングに移動した。 見えもしないテレビの前に正座し、テレビの司会者の声に耳を研ぎ澄ませた。 「…。」 彼女が言うに、「声質が良い」との事。 あんなおっさんのどこがいいんだか…。 「…はぁ。」 また小さくため息をついた。 とりあえずティッシュを拾い、全く取れないシミはもうあきらめることにした。 今日は休み。 いつもなら街を出て狩りをしたりゲーセンに行ったりしているのだが、あいむがいるためにそれは出来ない。 いつも家で留守番しているあいむは、そこに元々住んでいたかのようにきびきび動く。 「あいむ。酒。」 タッ 立ち上がって冷蔵庫へ向かい、ビール缶を持ってきた。 ぺたぺた まっすぐ歩いてきた。 「サンキュー。」 あいむがこたつに潜った。 「ちょっと飲むか?」
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