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「お前さあ、どこから来たの?」
弥一が根本的な質問をしていた。
「…。」
カリカリ…
ノートにミミズの走る字でなにかを書いた。
「つめ…たい場所?」
カリカリ…
「よくわからない…。」
字を読みとると、彼女は一度頷いた。
「お前いくつ?」
゛わからない゛
と紙に書かれた。
「粗末な扱いを受けてきたわけだな。その背中の痣は誰にやられたんだ?」
カリカリ…
゛せわしてくれたひと゛
「…やっぱ金持ちなのか?お前。」
「?」
頭を傾かせた。
「どうして外をうろついてたんだ?」
゛あたたかいところへいきたかった゛
「暖かい所?暖房すら無かったのか?」
゛こころもからだもあたたかくなりたかった゛
「ふぅーん…。じゃあ戻りたいとは思わないのか?」
゛もどりたくない゛
「そっか…。」
事態は深刻のようだ。
何があったかなんてそんなものはわからないが、彼女は居場所が欲しかったんだろう。
なんとなく境遇というか、居場所が欲しいって言うのは、俺も長年思ってきた事だ。
…しかし。
相手が金持ちだったら俺死亡じゃね?
今頃あいむを捜していて、俺と一緒にいるってバレたらいきなり射殺されるかもな…。
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