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例の男が作り笑顔でこっちを見ていた。
「…悪かったな。」
このあいむの姿を見て、弥一は頬を叩いた。
「さ、こちらへ連れてきてくれませんか?」
「じゃかぁしいコラァ!!!!」
弥一が突然声を張り上げた。
「な、なんですか?」
「いかにも怪しいテメェにあいむは渡せねぇ。お前あいむの何なんだ?」
「父親です…。」
「だったら証明できるもん持って来んかい!写真でも、母子手帳なんなり持って来い!!!!」
「…。」
「ま、あいむに聞くのが手っ取り早いけどな。」
あいむを見ると、首を全力で横に振っていた。
「第一、自分の娘だったら心配くらいするだろ?金でまとめる奴は、親だったとしても親じゃねー。」
「…。」
作り笑顔をしていた男が本性を露わにした。
「それでいいんだな?」
「ああ。」
「こんなにありがたい事してあげてるのに…。」
大きなため息をついていた。
「…あいむ。お前もそれでいいんだな。」
「…。」
あいむは終始ビクビクしていて、耳を塞いでいた。
「痛い目みて後悔するんだな。。あーあ…この金あったらこんな狭いアパートからバイバイ出来るのに。」
「案外気に入ってんだよ。」
弥一が馬鹿にした表情で男を見た。
「では、良い戦争を。」
男は行ってしまった。
ガチャン
「…はぁ。なんなんだよあいつ。」
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