口の巧みな男

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… … … とある病院。 白衣の男がメスを持っていた。 「まだ若くて綺麗な心臓だ…。」 ピッ…ピッ… 機材がある中、彼の側に横たわる一人の男の子がいた。 彼はすやすやと眠っている。 「これは高く値が付く…。」 彼の体にメスを入れようとしたときだった。 バタバタバタ… ガチャ! 「先生!」 慌ただしくまた白衣の男が来た。 「なんだ?」 「…あいむが…逃げました!」 息を切らしながらそう言った。 「あいむが?」 「はい。部屋を見たのですが、いつの間にか居なくなってて…。」 「…どうせそこら辺をさまよっているに違いない。捜せ。」 「はい!」 若い白衣の男が、また慌ただしく戻って行った。 「…。」 白髪交じりの白衣の男は、目の前の男の子の胸にメスを入れた。 慣れた手つきで胸を裂き、生々しくまだ動く心臓に手を触れた。 中に人がいて、「ここから出せ!」と中から叩いているみたいに激しく動く心臓。 「いらない物は、リサイクルするのが一番だ。」 その少年の、生きのいい心臓を優しく握った。 … … ピー …… ガチャ! 「あ、弥一。お帰り。」 真智留が笑顔で迎えてくれた。 ガサガサ弥一は鞄の中を漁っていた。 「見ろ!300万!」 「わあ。」 あの薄い封筒が大きく膨らんでいた。
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