21人が本棚に入れています
本棚に追加
…
…
…
とある病院。
白衣の男がメスを持っていた。
「まだ若くて綺麗な心臓だ…。」
ピッ…ピッ…
機材がある中、彼の側に横たわる一人の男の子がいた。
彼はすやすやと眠っている。
「これは高く値が付く…。」
彼の体にメスを入れようとしたときだった。
バタバタバタ…
ガチャ!
「先生!」
慌ただしくまた白衣の男が来た。
「なんだ?」
「…あいむが…逃げました!」
息を切らしながらそう言った。
「あいむが?」
「はい。部屋を見たのですが、いつの間にか居なくなってて…。」
「…どうせそこら辺をさまよっているに違いない。捜せ。」
「はい!」
若い白衣の男が、また慌ただしく戻って行った。
「…。」
白髪交じりの白衣の男は、目の前の男の子の胸にメスを入れた。
慣れた手つきで胸を裂き、生々しくまだ動く心臓に手を触れた。
中に人がいて、「ここから出せ!」と中から叩いているみたいに激しく動く心臓。
「いらない物は、リサイクルするのが一番だ。」
その少年の、生きのいい心臓を優しく握った。
…
…
ピー
……
ガチャ!
「あ、弥一。お帰り。」
真智留が笑顔で迎えてくれた。
ガサガサ弥一は鞄の中を漁っていた。
「見ろ!300万!」
「わあ。」
あの薄い封筒が大きく膨らんでいた。
最初のコメントを投稿しよう!