口の巧みな男

6/11
前へ
/150ページ
次へ
「おめでとう。」 真智留が指先で拍手をした。 「真智留!これで競馬行こうぜ!」 そう言った瞬間だった。 バシッ 「あいたっ!」 頭に痛みが走った。 「駄目よ。これは上に回すの。」 例のあのキツそうな女の人がいた。 「たまにはいいじゃないですか。」 「会社に貢献しなさい。面接の時、あなた何て言ったの?」 「じゃあ100万でいいです。」 「駄目よ。ほら、早く渡しなさい。」 「…。」 弥一は渋々分厚い封筒を渡した。 「これであの人に褒めて貰えるわ。」 そう言って、豪華な椅子に座ってしまった。 「ったく。なんでボスの愛人がここを仕切ってんだよ。」 ガチャ 弥一が椅子に座った。 「まあいいじゃないか。いい匂いするじゃんか。」 「お前あんなケバい女がいいのか?」 「いや、そうは言って無いけど。」 「否定しろよ。香水臭くてたまんねー。」 「…確かに。トイレみたいな臭いする。」 「だろ?くっせーよな!」 弥一がわざとらしく鼻をつまんだ。
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加