1*80年ぶりの再会

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「そんなに姿形が変わってしまって、誰だか分かりませんでしたよ。80年位前は銀髪でしたしね。」 「俺を知っているのか?」 フェルトと呼ばれた少女は不信そうな顔で男を見た。 「もうろくしちゃったんじゃないですか?僕はアルケ…。」 ブオンッ 「うわわっ!」 フェルトの杖がアルケインの頭をかする。 「危ないじゃないですかぁ!」 「思い出したぞ…貴様、アルケインか。」 沈黙を保っていた兵士達がざわつき出す。 「80年前?」 「フェルト様って18だろ?」 「え、お前知らねーのか…?」 確かに、少女の生い立ちを知らない者にとっては当然かもしれない。 まして、敵として対峙している若い男がその80年前を知っているとなれば。 少女はフェルト・メルンヴェルン・XXIII。 この世に姿を変え、形を変え、生き続ける魔女だ。 姿は少女と言えど、"XXIII"という数字こそ、本来の彼女の寿命と言っていいだろう。
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